「国内外におけるコチニール色素・カルミンのアレルギー発症の実態は明らかになっていないが、卵や牛乳のような特定原材料、あるいは特定原材料に準ずる原材料の食物アレルギーに比べると発症数は極めて少ないと考えられる。」コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー、種山浩ほか、国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部、ファルマシア2014
安全性
「厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。
また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。」厚労省ウェブサイトより※令和6年4月〜食品衛生基準行政は厚労省から消費者庁へ
印象
大学生46人を対象に、赤系で着色したクッキーの見た目の好ましさをリサーチ。最初は着色料非開示で、見た目を評価。1ヶ月後、着色料の名称と原料写真を30秒提示後、見た目を評価。
「その結果、紫いも色素は情報開示により好ましさが有意に上昇し、コチニール色素は有意に低下した。」着色料に関する情報がクッキーの外観評価に及ぼす影響、菊地亨、旭川市立大学短期大学部紀要2025
コチニール色素はコチニールカイガラムシ(エンジムシ)などから製造されます。
コチニール色素アレルギー
「本症は口紅やアイシャドウに含有されているコチニール色素(またはカルミン)により経皮・経粘膜感作が成立し,その後,食品中に添加されたコチニール色素の経口摂取によりアレルギー症状が誘発されると考えられている。」コチニール色素アレルギー、猪又直子、アレルギー2025
「日本人の症例は22人報告されている。(中略)すべての症例は成人女性であり、3例を除くすべての症例にはアナフィラキシーが含まれていました。13件の症例には、化粧品の使用に関連した局所症状の過去の病歴が含まれていました。日本のイチゴジュースや魚肉ソーセージ、ヨーロッパの加工食品(特にフランス製マカロン)や飲料が最近のアレルゲンの主な供給源となっている。」Cochineal dye-induced immediate allergy: Review of Japanese cases and proposed new diagnostic chart、Allergol int. 2018(コチニール色素誘発即時アレルギー:日本の症例をレビューし、新しい診断表を提案、武雄直子ほか)
低アレルゲンコチニール色素
「2012年の消費者庁のコチニール色素に関する注意喚起により、国内の食品用に用いられるコチニール色素は、「低アレルゲンコチニール色素」に切り替えられる方向になると予想される。しかし、医薬部外品や化粧品等に用いられるコチニール色素やカルミンの場合は、医薬部外品原料規格にタンパク質の規格が現時点で定められていないため、不純物やタンパク質の除去が十分でない製品の流通は否定できない。また、海外の化粧品等についても同様な問題が悪念される。したがって、医薬品部外品や化粧品等においてもタンパク質純度規格の改定の検討が今後必要になると考えられる。」コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー、種山浩ほか、国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部、ファルマシア2014
低アレルゲンコチニールでのアナフィラキシーも報告されています。ご両親が花粉症で、幼少からアレルギーに悩まされていたお子さんです。低アレルゲンコチニールでアナフィラキシーを起こした8歳男児の症例、平瀬敏志、アレルギー2020
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