ファイトケミカル(フィトケミカル)
「直訳すると『植物性化学物質』のこと。植物が紫外線や昆虫など、自分にとって有害なものからからだを守るためにつくりだされた色素や辛み、渋み、香りなどの成分を指します。」
引用:沖智之教授(栄養科学部 栄養科学科)、中村学園大学ホームページより
「フィトケミカルは1万種類あり、1つの野菜に数百種類含まれています。」
引用:”食”を考えることからはじめる心のケア、安田病院心療内科統合医療アール研究所所長 板村論子、FORUM8ウェブサイト、2017
ファイトケミカル*一覧表
| ポリフェノール | 抗炎症、抗酸化 | ||
| ポリフェノール (フラボノイド系) | 細胞シグナル伝達経路を調整、がん予防 | ||
| ルチン | ケール、ホウレンソウ、アスパラガス | 毛細血管を保護 | |
| イソフラボン | ダイズ、ソラマメ | 更年期のほてりを軽減 | |
| ジンゲロール | ショウガ | 消化吸収を助ける | |
| アントシアニン | アサイー、ブルーベリー | ||
| ケルセチン | タマネギ、エシャロット | 動脈硬化の予防 | |
| カテキン (フラバノール系) | 緑茶 | 光保護、皮膚状態 | |
| ポリフェノール (リグナン類) | セサミンなど | ゴマ、全粒穀物 | |
| ポリフェノール (スチルベン) | レスベラトロール | 赤ワイン、(赤い)ブドウジュース、 | 虚血性心疾患予防、血小板凝集を阻害 |
| ポリフェノール (その他) | クルクミン | ウコン | 認知機能上昇 |
| カロテノイド | αカロテン βカロテン | 緑黄色野菜 | ビタミンA活性 抗炎症 |
| リコピン | トマト、スイカ | 抗炎症 | |
| βクリプトキサンチン | トウモロコシ、ミカン | ビタミンA活性 | |
| (キサントフィル類) ルテイン ゼアキサンチン | ホウレンソウ、ケール | 青色光から 目を守る | |
| ステロイド | 植物ステロール (βシトステロールなど) | 未精製植物油、ゴマ | コレステロール吸収 |
| 硫黄化合物 | (硫化アリル) アリシンなど | ニンニク、ニラ、タマネギ、ネギ | 抗酸化、抗炎症、コレステロール合成を減らす |
| イソチオシアン酸塩 | マスタード、ブロッコリー、ケール、キャベツ | 抗菌、抗がん(これら化合物の代謝が遅い人) | |
| クロロフィル | ほうれん草、ニラ、ピーマン | 抗酸化、抗がん | |
| 糖関連化合物 | βグルカン | 大麦 | 整腸、コレステロール低下、食後血糖低下 |
| その他 | ナットウキナーゼ | 納豆 | 血栓予防 |
参照:オレゴン州立大学微量栄養素情報センターウェブサイト;野菜検定公式テキスト、杉本晃章2023;食品の色に秘められた健康機能~ポリフェノールとカロテノイドの摂取量調査から〜、岸本良美2025;レスベラトロールによる抗血栓作用—特に血小板凝集抑制を中心に—、江川可純ほか2025;食品添加物による真菌(カビ・酵母)の抑制、小田原毅ほか2023
「日本人の食事の総ポリフェノール摂取量は、全死因、死亡率および心血管、消化器疾患による死亡率と負の相関があります。(訳文)」
引用:Dietary intake of total polyphenols and the risk of all-cause and specific-cause mortality in Japanese adults: the Takayama study.田口千恵ほか、European Journal of Nutrition、2020
「一般的に、フラボノイドのバイオアベイラビリティは、吸収がわずかであることと排出が迅速であるために比較的弱い。」
引用:オレゴン州立大学微量栄養素情報センターウェブサイト
抗酸化
ファイトケミカルは、「栄養価のみならず抗酸化、抗炎症作用などの健康上の利点が注目されている。」
「生体は常に活性酸素を産生しているが、運動によって酸化と抗酸化のバランスが不均衡となり酸化ストレスが生じる。活性酸素はミトコンドリア内で電子伝達系を介して産生されるが、内因性抗酸化物質が不均衡な状態を是正し持続可能な状態を維持する。さらに、食品由来の抗酸化物質も酸化ストレスを軽減することで炎症を制御する。」
引用:運動時の炎症、酸化ストレス、免疫低下を予防する機能性食品に関する研究、早稲田大学スポーツ科学学術院鈴木克彦教授、Colloid & Interface Communications、2024
◯野菜◯果物△サプリメント
抗酸化サプリメントが病気に効くという科学的根拠(エビデンス)は多くありません。
野菜や果物の摂取で病気のリスクが減るというエビデンスはたくさん報告されています。
・野菜や果物の摂取量が多いほど心血管疾患とがんのリスクが低い(2017)
・野菜や果物の摂取量が多いほど白内障のリスクが低い(2023)
なぜ野菜や果物が良いのか?
・野菜や果物は他にも多様な成分を含むから
・(統計的に差ができるのは)よく摂取する人が健康的なライフスタイルだから
なぜサプリメントは良くないのか?
・精製された化学物質を飲むのと植物を食べるのは違うことだから
・自然に植物から摂取するより抗酸化物質の量が多すぎるから
参照:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIMウェブサイト、2021(2025更新)
摂りすぎ注意
「健康食品やサプリメントは、くすりの代わりではありません。それから、「食品だから安心」、「天然成分だから安全」は誤解で、天然成分由来の健康食品でも、アレルギー症状や医薬品との相互作用を起こすものがあります。特に、病人、子ども、妊産婦、高齢者、アレルギー体質のある方などは、要注意です。」
「体に不調を感じたら、すぐに、かかりつけの医師にご相談を!そして、医師に、「健康食品」やサプリメントを摂っていることをきちんと伝えましょう。」
引用:日本医師会ウェブサイト
無しでも大丈夫?
「(ファイトケミカルは)通常の代謝には必要なく、摂取しなくとも欠乏症にならない。」
引用:”食”を考えることからはじめる心のケア、安田病院心療内科統合医療アール研究所所長 板村論子、FORUM8ウェブサイト、2017


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