草の花粉@伊東


伊東では草花粉の飛散は少なくて、草花粉症は問題化していません

院長先生は草花粉よりは樹木花粉が専門ですが、2016年に伊東の草花粉飛散についての論文も発表しました。静岡県伊東市における草本植物の花粉飛散状況、藤井まゆみ他、アレルギー、2016

*2004〜2014年のデータから平均値を出しています

伊東の草花粉全体の最盛期は9/18〜11/26頃。伊東のイネ科 、ヨモギ属、ブタクサ属 、カナムグラ(アサ科)の花粉飛散時期は、全国各地の飛散時期とほぼ一致した。

草の花粉飛散距離は短く、スギ花粉は100km 飛ぶ一方、ブタクサ花粉は2km以内と報告されている。

*伊東市ケーブルテレビ局CVAビル屋上で

ダーラム型花粉捕集器を伊東市竹の内2丁目、3階建てビル屋上に設置。周囲は伊東旧市街地で空き店舗・空き地が目立つが、歩行圏に田畑や森林はない。

*観測地点の歩行圏を観察

イネ科(前期)*花粉ピークは4/30

1〜6月にはスズメノカタビラ、カモジグサ、カモガヤが見られる。

イネ科(後期)*花粉ピークは10/5

メヒシバ、オヒシバ、カモガヤ、カヤツリグサ、エノコログサ、ススキが道端や空き地に茂っている。

空き地に茂る雑草のなかでイネ科の占める割合は大きい

水田のイネは池地区のみで、ほんの僅か。

伊東では7月~12月のイネ科花粉は、1月~6月より多い.

三重県中央部では秋のイネ科花粉は春の半分になるが、伊東の方がはるかに少ない

新潟のイネ科花粉の後期も前期より少ないが、伊東の方がはるかに少ない

相模原では1966年以降急に減少しているが、伊東の方がはるかに少ない

タデ科*花粉ピークは6/19

イヌタデ(アカマンマ)、ヒメスイバ、スイバ、ギシギシ、ミズヒキ、イタドリ、ヒメツルソバなどで、土手や丘陵に見かける。

ヒユ科*花粉ピークは9/24

イノコヅチ、アオビユ,イヌビユ、ケイトウ属など。伊東のヒユ科花粉、総飛散数は少ない。

アサ科*花粉ピークは9/28

カナムグラ。

アサ科花粉の総飛散数は、新潟や相模原より伊東のが少ない

イラクサ科*花粉ピークは9/13

イラクサ、カラムシ、アカンなど。

キク科ブタクサ属*花粉ピークは9/17

ブタクサ、オオブタクサ。

目立たず、なかなか見つからない。

キク科ヨモギ属*花粉ピークは9/17

ヨモギは舗装のない道端や空き地によく見られる。

花粉飛散数は、新潟や相模原より伊東の方がはるかに少ない

草の花粉症

全国各地でイネ科花粉症は、スギ花粉症に次いで問題になっている。牧草のイネ科や水田の稲が花粉源になる。しかし草花粉の飛散距離は短く、被害は限定的で、スギ花粉症のように全国的な問題にはならない。

伊東の植物多様性

伊東では他に、キク科のオナモミ、タンポポ、ダンドロボロギク、ヨメナ、コセンダングサ、ハキダメギク、オニタビラコ、ナス科のワルナスビ、アブラナ科のナズナ、シソ科のヒメオドリコソウ、ホトケノザ,スベリヒユ科のハゼラン、ムラサキ科のワスレナグサなど、多種を街路脇,空き地で見かける。

タデ科のヒメツルソバ,スベリヒユ科のハゼランとムラサキ科のワスレナグサは園芸種として輸入され雑草化した帰化植物だが、他の在来種と調和し多様性を保っている。

同じ帰化植物のセイタカアワダチソウは、乾燥・低温に強い特性から他の植生を凌駕し、全国各地で群落をつくり、花粉症の源となっている。

伊東では草むらにセイタカアワダチソウを数本見かけることはあるが、群落はない。

ブタクサに似たやや小型な花粉形態のセイタカアワダチソウ花粉は、十数年で3個しか観測されていない。地勢に適した草に淘汰されていること、マメに草取りされていることが原因と考えられる。

伊東は温泉観光地なので、定期的にボランテイアによる海岸の草取り、清掃活動市による河川敷の草刈りも行われている。

観光業以外に特別な産業がないので工場排水による土壌の汚染もない

以上の理由で重大な花粉症の原因となりそうな草群落の偏りはなかったと考える。

伊東の温暖な気候地域の努力植物の多様性を守り、花粉症を重大化させない要因となっていると考える。


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