病位・病期を考慮し、治療したことにより軽快した吃逆の1症例

藤井まゆみ

緒言

吃逆、俗にしゃっくりというが、横隔膜の間代性痙攣である。現象に応じた処方では治らない症例に、今までの既往から、病位・病期を勘案し、虚実寒熱証、六淫の邪、気の方向性により、方剤を選択し、軽快に導くことができた。

症例

【症例】40代男性

【主訴】吃逆

【現病歴】X年10月X日、吃逆が昨夜30分間止まらず、今日午後3時ごろから再び生じ止まらず、苦しいと来院。

【現症】身長約170cm、体重約65kg、正常血圧、軽度の貧血。

【既往歴】20代後半で気胸、2〜3年前から胃もたれ、食欲不振、下痢が時々ある。

【初診時の漢方医学的所見】〈自覚症状〉息切れ、動悸、足の冷え、下痢になりやすい、腹部膨満感、手のひらに汗をかきやすい、頭重感、多尿。尿回数は昼9回、夜1〜2回。便通:1回/1日。

〈他覚所見〉舌診:舌体紅紫色、舌苔・白薄、舌下静脈怒張。腹診:腹力中程度、その他変わりなし。脈拍:緊。

【経過】現症と所見から、啓脾湯を選び、ツムラ啓脾湯エキス顆粒7.5gを7日分処方した。

5日後、だいぶ良いが、吃逆が1日に1回2時間程度続いている。病位・病期を見直し、六君子湯を2週間分処方したところ、症状が軽快し、体重が2kg増加した。

結語

現症から導いた処方で軽快しないときに、既往歴を詳しく問診し、病位病期を見直し、改めて処方し直すことにより軽快にたどり着くことができた。

第73回日本東洋医学会学術総会で口演しました。

『漢方の臨床』70巻10号(2023)別刷より、引用/要約

※病位・病期のチャート(表1)や太陰・脾経(表2)、考察は省略しました。詳しくは『漢方の臨床』を!