
当院院長、藤井まゆみ先生の花粉研究です。
伊東市街中心部、竹の内2丁目の伊東市ケーブルテレビ局CVAビル屋上にて計測。ダーラム型花粉捕集器使用、カウントは臨床検査技師さん。藤井クリニック休診日はカウントもお休みです(翌朝、2日分の花粉数を割り算します)。
口頭発表要旨*日本花粉学会2025
今年のスギ花粉飛散開始日は、1月28日であった。1月1日からの日積算最高気温は331℃で、いつもより低温での飛散開始であった。
昨年の花粉学会で、「スギ花粉飛散数は、前年の花芽の着花状況により予測することが正確であろう。しかし、その地域の状況、風向きなどに実際の飛散数は左右される。」という発表を伺った。前年の花芽の着花状況を調べることは、スギ・ヒノキ林まで出かけていかなければならない。簡単な事ではない。
伊東市では、2004年から 2025年の2月から4月の最大風速の風向きは、ほぼ西南西で、4分の1のみ北北東であった。よって、前年初冬のスギ花粉飛散数が、春のスギ・ヒノキ花粉数の指標としてふさわしいと考える。昨年までは、前年初冬のスギ型花粉飛散数から、分散分析によって、スギ型・ヒノキ型花粉飛散数の予測を行い、大きく外れることはなかった。よって今年も同様の方法で、花粉飛散数を予測した。
昨年初冬のスギ型花粉飛散数は 115個/cm2で、分散分析からスギ型・ヒノキ型花粉飛散数を 23330個/cm2と予測した。しかし、実測値は 7471/cm2であった。スギ型とヒノキ型を分けて計測すると、スギ型の花粉飛散数は、子測、実測それぞれ 10191個/cm2、4951個/cm2、ヒノキ型は12652個/cm2、2515個1cm2であった。特にヒノキ型の実測値が少なかった。今年は暴風雨が激しかったという印象であったが、気象庁による網代の降水量は特に多くはなく、平均的であった。
今年の花粉飛散数が予測より少なかった原因は不明である。
※句読点を修正しました。赤線部の意味がわからないので、後日質問してみます。(Misanpo Translation Office, m)
発表当日に
「今年の花粉飛散数が予測より少なかった原因は、暴風雨だと考えます。」と、結論の補足がありました。「ヒノキはスギより弱いので、実測値が特に少なかったのだろうと考えます。」
「隣りの県の者ですが、今年の総雨量は多くないですが、まとまった雨が降るとスギの花は閉じないので雨で流れることがありますね。豪雨の程度にも寄りますが。」とコメントを頂きました。
学会終盤には、「知って頂きたいが、スギ花粉には隔年で増減する法則があります。それも踏まえた上で花粉数を予測しなければ。」との御提言が皆様に向けられました。
一昨年、昨年の秋の花粉症(2023年発表)
○藤井まゆみ1)、牧山 清2)、岡崎 健二3)
藤井クリニック 院長1)、日本大学病院 耳鼻咽喉科2)、岡崎耳鼻咽喉科医院3)
【目的】一昨年、昨年と続けて、秋の花粉症患者が多かった。その原因を確かめたいと考えた。
【方法】静岡県伊東市で、10数年にわたり毎日、空中花粉飛散数を計測している。その数と気温、降水量の相関を調べてみた。また地域の状況を観た。
【結果】ブタクサ花粉飛散数は、一昨年に引き続き多かったが、気温、降水量との相関は認めなかった。ヨモギ花粉飛散数も多く、気温と負の相関を認め、降水量とは相関は認めないが、降水量が多いと飛散数が多い傾向があった。
【考察】花粉捕集器設置場所は、伊東旧市街地で、人口減少傾向にあり、空き家が取り壊され、空き地になっているところが目立つ。一昨年から夏、近所の小道を歩くのに、道端の雑草が伸び、歩行の邪魔になった。ヨモギは、刈り取らなければ、2メ―トル近く成長することを知った。新型コロナ禍で、職を失ったり、家に閉じこもったりで、雑草の草刈まで手が回らなかったことが、2年連続してブタクサ、ヨモギ花粉飛散数増加の原因ではないだろうか。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報2023年126巻4号
予測と実測
前年秋冬期スギ花粉数と春期スギ花粉数に有意な相関は無く、前年秋冬期スギ花粉数から春期スギ花粉数は予測できない、と言われるようになりました。
「春に飛散するスギ花粉は、前年秋のスギ雄花の着花量(花粉生産量)を確認することで予測することができます。」令和6年度スギ雄花花芽調査の結果等について、環境省、報道発表資料、2024
予測値は前年秋冬期花粉数と過去の春期花粉数から統計学的に算出されています。
2025年の誤差は15859個。


2024年の誤差は887個。


2023年の誤差は1585個。

↓「飛散数実際」は「飛散数実測」の誤り。

「毎年分なくてもグラフに過去値が」と院長先生。

2019年の誤差は2284個。


2018年の誤差は4532個。


2017年の誤差は2041個。


2016年の誤差は2751個。


2015年の誤差は6660個。


2012年は予測値6000~8000個に対して実測値は2000~3000個。

シーズンの日々スギヒノキ花粉
スギ+ヒノキ花粉数のグラフ。最新年だけスギとヒノキが別々です。厳密には伊東駅最寄りの伊東市街。
2025年

2024年

2023年

2022年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年
このグラフでは最新年もスギヒノキ合計の花粉数です。
